映画『暗黒女子』レビュー

黒い六人の女

 何かと世間を騒がせている清水富美加の、最初にして最後の主演作であり、ようやくめぐり合えた代表作という、皮肉な因縁にぐるぐる巻きにされた話題の1本である。

 とあるお嬢様学校で、全校生徒の羨望の的だった女子高生が、謎の死を遂げる。彼女が会長を務めていた文学サークル部員の誰かが殺したとの噂が広まり、右腕代わりの無二の親友(清水)の発案で、その死をテーマに、遺された部員が各自で創作した小説を朗読し、それぞれの黒い思惑が激しく交錯する定例会が、幕を開ける。

 『世界に一つだけの花』の歌詞にイチャモンをつけるつもりはないが、ひとりひとりは特別なオンリーワンであっても、強い個性をもち、容姿にも恵まれた6人の女の子の集団ともなれば、形式だけでもナンバーワンを決めねば、まとまるはずもない。問題は、そのポジションにふさわしい人物であるか否かで、誰もが憧れる可憐な花の実像が、作者が思い思いに脚色を施した小説を通して、徐々に露にされていく。

 かつて、某TVドラマの番宣にて、”どんな役ですか?”と問われ、”脇役です。”と即妙な返しを見せた清水。自らを冷静に客観視し得ていた彼女にとって、太陽のような存在の傍らで、すべてを月として照らし出す今回の役柄は、正にハマリ役。目の奥は笑っていない不気味な表情にクールな言い回しで、部員同士が見苦しく足を引っ張り合う朗読会を淡々と仕切る前半から、4人の発表を受けた上で、衝撃の事実を告白するクライマックスへ。それ自体は、”衝撃”というほどでもないのが悲しいところだが、裏方人生に徹してきた女性の豹変を、不敵に怪演する清水は、ろうそくの炎がゴージャスな装飾を包む暗い部室を逃げ惑う、美女軍団の熱演と相まって、強烈な印象を残す。

 ひととしての無責任な言動は、決して褒められたものではないが、女優としては面白い可能性を秘めていただけに、何とも残念だ。

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暗黒女子のポスター
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服部香穂里のプロフィール画像

服部香穂里

映画界の末端で、浮草のように漂うております……。

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