映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』レビュー

奇妙になり切れない映画だが、終盤で浮かび上がるメッセージ性は強烈

 自身の幼少期の体験を基に、社会から疎外されたハミ出し者を描いてきたティム・バートン。彼の最新作は、2011年に出版された「ハヤブサが守る家」の映画化だ。周囲に馴染めずにいた少年が祖父の死をきっかけに、特殊な能力を持った奇妙なこどもたちが暮らす孤児院を訪れる。あらすじを聞いただけで心に傷を負い、周囲に溶け込めないマイノリティたちに愛情をたっぷり注いだバートン映画なのだと予想がつく。

 結論から言うとそんな期待は少し裏切られた格好だ。思春期になっても祖父が枕元で語ったファンタジーを信じる主人公は確かに変わり者だが、彼の抱える闇と言えば幼い頃に授業でベッドタイムストーリーを発表し、クラスメイトに嘲笑されたエピソードぐらい。自分の心に耳を傾けてくれない父親への不満も募るが、それはティーンエイジャーなら珍しくないだろう。

 そして彼が訪れる孤児院にしても、こちらは見た目も能力も一癖ありなこどもたちが揃っているが、初めから安全な場所で同じ日を繰り返しながら平和に過ごしている彼らは外界との関係性が描かれず、「社会に受け入れられないハミ出し者」としての印象が弱い。奇妙なこどもたちも奇妙な世界に置いてしまえば、それは「普通」になるのだ。

 だからこそ彼らが外の現実世界へと飛び出し、脅威と戦わざるを得ない後半の展開には心が躍る。個々の能力を生かした「X-MEN」さながらのアクションはビジュアルが豊かだし、響きが“ホロコースト”を連想させる“ホローガスト”との対決はアトラクション的な見せ場に深みを与える。こどもたちの戦いは成長の一歩であり、迫害への抵抗の象徴でもあるのだ。初めこそ淡白で掘り下げの浅い人物描写に拍子抜けしたが、最後まで観てやはりティム・バートンは弱き者たちの味方なのだと再確認した。

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ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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