映画『一週間フレンズ。』レビュー

友だちのうた

記憶障害は、実にドラマティックである。

現実的には深刻極まりない問題だが、なかなかドラマが生まれにくい今のご時世、フィクションの世界のモチーフには、好都合。映画も同様で、コメディ芝居に長けた2人が、真摯に純愛を体現するギャップも好ましい『50回目のファースト・キス』(04)、記憶は消えても残り続ける、かけがえのない何かに気づかされる『博士の愛した数式』(05)、ハードルの高い男1・女2の三角関係を、ひねりの利いた設定で成立させてしまった変化球的な『花とアリス』(04)などの成功例がある一方、失敗例は、数え上げたらきりがない。

そして、相次ぐ(!!)少女コミックの映画化×記憶障害ものの『一週間フレンズ。』。タイトルの妙な句点も含めて、嫌な予感しかなかったが、フタを開けると、時折グッときてしまう拾いものであった。

乙女の妄想具現化への立役者ともいえる山﨑賢人が、『オオカミ少女と黒王子』(16)とは180度異なる漫画オタクを、ナチュラルに好演する。初めて逢った日に見せた笑顔から一転、素っ気ない態度をとり続ける彼女(表情のニュアンスだけで難役を演じ切る川口春奈も、お見事)に、”付き合って下さい”ではなく、ただ”友だちになって下さい”と、何度でも手を差し出す時代錯誤な純朴さ。後々、友だちに関する記憶が1週間でリセットされる、彼女の抱える問題が判明するのだが、友情から恋愛へと発展しそうでしない、何とも意地の悪いタイムリミットが、絶妙なもどかしさを誘う。交換日記で失われた記憶を補完しながら、ゆ~っくり距離を縮めてはいくものの、手を握るのもやっとの二人を観ていると、中村中の名曲「友達の詩」が聴こえてくる……なんていうと、褒めすぎか。

漫画青年の面目躍如たるクライマックスも、わかっちゃいるけど、涙を誘う。予定調和ギリギリのバランスで、健全な友情と恋愛を映し出した好篇である。

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一週間フレンズ。のポスター
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服部香穂里のプロフィール画像

服部香穂里

映画界の末端で、浮草のように漂うております……。

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