映画『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』レビュー

新たなる希望へのリレー

ディズニーにとって初の番外長編映画となる『ローグ・ワン』は絶対に外せない1本だったハズだ。だが、そこで守りに入らないのがスピルバーグの盟友、製作のキャスリーン・ケネディである。『GODZILA』のギャレス・エドワーズを起用する野心と気概を見せた。

ところがルーカス時代に3年かけていた製作期間を2年に短縮した本作は体勢の不備が作品上に表出してしまっている。魅力的な国際キャストを揃えながらも描き込み不足のキャラクター達、プロットを追うだけの前半部分…“半分近い再撮影”というネガティブなニュースを裏付けるのに十分な不備だ。

しかし『ローグ・ワン』は後半、デス・スター設計図奪還作戦が始まると俄然、面白さが増してくる。はぐれ部隊が挑む決死の潜入作戦はさながら“スター・ウォーズ版『特攻大作戦』”といった趣だ。迫り来る重戦車(AT-AT)に航空支援(X-ウィング)と戦争映画の画が散りばめられ、中でもこれまでのシリーズになかった手りゅう弾の描写が戦争映画を目指したというエドワーズの本格志向を実証する。デス・スターのスーパーレーザーが原爆にしか見えないのもかつて広島原爆のドキュメントに携わったエドワーズらしい意匠だ。

『スター・ウォーズ』でこれほど人が死んだのは初めてではないだろうか?本作のハードSF路線をやり切った事でディズニーは“スピンオフは何をやってもいい”という試金石を得たと言っていいだろう。
そしてそこには外伝を第1作『新たなる希望』へ橋渡しせんとする作り手達の気迫同様、終盤、命を賭けて希望をリレーするローグ・ワンの面々の姿がダブってくる。後にルーク・スカイウォーカーらが破壊したデス・スターの爆光はジン・アーソと父の悲痛な運命の結末であり、深い感動を呼ぶ事となる。『ローグ・ワン』はスター・ウォーズ銀河をより魅力的に拡張した最良のスピンオフ映画となった。

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ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリーのポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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