映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』レビュー

Hopelessnes

今年、オバマが広島を訪問し、平和記念公園でスピーチを行った。被爆者を抱きしめたあまりにも絵になる姿が世界中に配信され、間もなく任期を終えようとする彼がアメリカ中のHopeを受け止め、チェンジという合言葉を高らかに掲げて大統領に選ばれた事を改めて思い出した。“オバマの時代”はそんな未来への期待と共に始まったのである。

その実、どうだったのか。
議会はねじれ、国家は憎悪によって分断され、イラク戦争は終わったとされながら未だドローンが無実の人々を爆殺し、そしてこのスノーデン事件である。国家がインターネットを介して全国民の個人情報が収集していた事が明らかにされたこの事件はアメリカ、オバマのある種病的な二面性をあぶり出したようにも思う。本作はエドワード・スノーデンが告発を行うにあたって言わば第三者記録人として接触を受けたローラ・ポイトラス監督による全内幕を収めたドキュメンタリーである。

ドキュメンタリーならではの偶発的な記録の数々も収められており、中でも興味深いのがこの決死の告発を行ったスノーデンの人間性だ。深いインテリジェンスと勇気を兼ね備えた青年だが、これから衆目を避けなくてはならないのに髪型を気にする幼稚なナルシズムをポイトラスは逃していない。この事件の特殊さはマスコミ発の民意による自浄作用が働いたのでもなく、スノーデンという一人の“よくわからない青年”によって白日の下にさらされ事となった偶発性であり、故に時の権力への決定打へとなり切らなかった気がする。

アノーニのアルバム「Hopelessnes」はそんなオバマの時代のサイコパス的な空気を歌っている。
お父さん
ホテルの部屋にいる私を見て
街から移動する私の輪郭を見ていて
ポルノを楽しむ私を監視して
私が友達や家族と話すのを傍受して
あなたが私を愛しているのはわかっている
だっていつも私の事を見ているから

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シチズンフォー スノーデンの暴露のポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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