映画『ターザン:REBORN』レビュー

無臭ジャングルを駆け回るイケメンターザン

 「ターザン」と言えば1999年のディズニーアニメを思い浮かべる人が多いだろう。ジャングルでゴリラに育てられた英国貴族の子供が様々な困難を乗り越えながら成長し、途中で出会ったジェーンと恋に落ちつつも野生を傷つけようとする人間に戦いを挑む。

 実写版となる「ターザン:REBORN」は既にジャングルから帰国し、英国で貴族として名を馳せているターザンが描かれる。映画の開始時点からジェーンとは夫婦であり、2人は調査のためにかつてのジャングルへと戻っていく。申し訳程度にターザンの生い立ちエピソードが断片的に挟まれるものの、基本的には彼の出自を知っている前提で「その後」が描かれるため、ビギニング・ストーリーを期待すると肩透かしを食らうであろう。

 特にターザンに馴染みのない若年層にとってはピンと来ない内容であることは否めず、なぜ今になってこの物語を大金かけて映像化しようとしたのか、企画意図は不明だ。最新のCGでジャングルを表現するという試みも、ゴリラの大群は「猿の惑星」で再現済みだし、その他のビジュアルも既視感たっぷりで驚きに欠ける。

 ただ、「ハリポタ」完結編を成功へと導いたデヴィッド・イェーツ監督が演出するジャングルは、不快な湿っぽさは一切なく、むしろ木々の影が強調されたスタイリッシュな風景が涼しさを感じさせるほど。「ハリポタ」譲りのダークなビジュアルは野性の匂いを掻き消すが、美男美女の物語に汗臭さなど不要なわけで、癖のない夏のエンタメを目指す上で彼の起用は正解だったと言えるだろう。

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ターザン:REBORNのポスター
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奥 直人のプロフィール画像

奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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