映画『インデペンデンス・デイ リサージェンス』レビュー

フラットウッドモンスターをはじめて知った。

 信じる者を信じない者が嘲笑し、信じない者がその不信仰の罰を受けるのを観客が手ぐすね待つと言う定型がなくなってしまったのが、作品への不評につながっているのではないか。宇宙人におかしな物質を体内に埋め込まれたり、誘拐されて妊娠したなど周囲に訴えかけるが相手にもされず、最後にはそれみたことか、本当に宇宙人はいたではないかと、今度は正義と善と真実の側に立つ。オカルティストを嘲る者は宇宙人に八つ裂きにされる。SF映画は現実世界でキチガイ扱いされた者が賢者となる逆立ちした世界だ。観客は逆立ちに溜飲を下げる。
 しかしながら本作は小市民的な良識人と壮大な宇宙の真理に通暁した覚醒者の対比がなく、いわば登場人物の皆が皆、目覚めた夢遊病患者か追跡妄想患者の様相を呈している。生のままのキチガイがああでもないこうでもないと乱痴気騒ぎしている。病者の言葉に貸せる良識的な耳がなければ物語は成立しないのではないか。
 あらゆる都市伝説を網羅しながら、実は作為に満ちているように見える。上っ面は「本当に馬鹿みたい」なのだが、とどのつまりはオカルト信奉(ロマンチシズム)は国軍保持信奉と同軸にあることをあたかも見抜いているかのようにも見えるし、こうしたロマンチシズムは自己犠牲をたやすく誘導していることを見抜いているようにも見えるし、戦時下において友愛や博愛が実は自己犠牲を強いていることを見抜いているかのようにも見える。ドイツ人として単にメリケンに受けるであろう娯楽作品を作ったのか、アメリカ人はこの程度のものだよと言いたいのか、単に西部劇を模倣しているのか、ユーモアなのか逆説なのか、真面目なのか遊んでいるのか、境界線がわからない。本人の気儘ぶりを真に受けている私が一番馬鹿なのかも知れない。

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インデペンデンス・デイ リサージェンスのポスター
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弐個 四のプロフィール画像

弐個 四

本棚に並べたDVD画像をSNSで自慢げにさらすような大人にはなりたくない。

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