映画『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』レビュー

タイムオーバー

 前作で不思議の世界を旅したアリスはすっかり成長し、今や男たちを率いて過酷な航海に出る逞しい女性になった。そんな彼女が鏡をすり抜けて再び不思議の世界へと誘われ、かつての仲間の危機に駆けつける。新進女優からハリウッドで活躍する若手スターへと脱皮したミア・ワシコウスカのキャリアをなぞるかのように、今回のアリスはとにかくアクティブで気概たっぷりだ。

 ファンタジー路線はそのままに、アリスがタイムマシンを操って時間を行き来するSF要素も追加され、前作とは一味違った印象だ。様々な瞬間が波に宿る“時間の海”の表現は面白いし、映画とは相性抜群のアナログ時計のギミックを生かした美術やアクションも楽しい。マッド・ハッターや赤&白の女王の過去を旅することで見えてくるのは、現実との向き合い方だ。過去のしがらみに囚われて憎しみ合うよりも、未来を見据えて誰もが幸せになれる関係を模索していくことの大切さ。昨今の残酷な世界情勢と照らし合わせると、なかなか考えさせられる部分も多い。

 振り返ってみれば見どころの多い映画だが、それでも満足度が追い付かないのは鮮度の無さ故か。そもそも前作は「アバター」が火をつけた3D旋風に乗っかって大ヒットを記録したものの、内容自体はとても感情移入ができるようなドラマではなかった。肉付けの薄いサーカス団たちに今更「こんな過去があったんですよ」と言われても、「知らんがな」というのが正直なところ。前作から6年、賞味期限はすっかり切れていた。

 

5
アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅のポスター
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0
奥 直人のプロフィール画像

奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

映画『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』に対する奥 直人さんのレビューにコメントする