映画『マクベス』レビュー

若い才能による、大胆な古典のカラーリング

 欲望や野心といった感情がそのまま肉体を得たかのような狂気的なキャラクターによるドロドロの人間模様は、映画鑑賞よりも観劇という言葉が似合いそうな重厚な仕上がり。そのまま至極真っ当な古典の映像化と受け取れるだろう。

 ところがこの映画、節々にヴィジュアルへの強いこだわりが感じられる。激しい戦闘の最中にスローモーションが挿入されるオープニング場面やマクベスが目にする幻覚のような魔女の描写、血を連想させる真っ赤に染まった空の演出など、ファンタジックで宗教的な映像はさながら「ファウンテン 永遠につづく愛」や「ノア 約束の舟」などのダーレン・アロノフスキー映画を観ているかのようだ。(心なしか音楽もそれっぽい)

 夢と現実の狭間を行き来する印象的な映像のリズムでシーンをつないだ本作は、正統派の大真面目な古典の映像化のように見せかけて実は間違いなく若い才能による今風の映画である。ミュージックビデオ出身者風の映像センスを持ちながらも○ック・○ナイダーのようにCG厚化粧の作り物臭さは無く、加えてストーリーテリングも抜群とあれば今後が楽しみで仕方が無い。この監督&主演コンビで挑む次回作はあの人気ゲームの映像化「アサシン・クリード」。期待のハードルは今にも天に届きそうだ。

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マクベスのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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