映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』レビュー

ジャスティスは何処へ?

 2大ヒーロー世紀の激突。

 前作「マン・オブ・スティール」の激闘の最中で実はブルース・ウェインの大事な部下たちが命を落としており、彼はスーパーマンの強大な力が人類を滅ぼしかねないと危険視するようになる。

 なんとか2大ヒーローが激突するきっかけを作ったものの、終盤に至るまで目立ったアクションはなく、映画を支配するのはひたすら暗くて重い展開だ。コミック映画であることすら忘れてしまうような残酷な場面も多く、どこまでも気分を下げることを余儀なくされる。繰り返される空想と回想、そしてマーベルの「アベンジャーズ」に対抗して今後展開されるDCコミックのヒーロー集結映画「ジャスティス・リーグ」を意識した伏線の数々は、決して難しくない物語をいたずらに混乱させる。

 長時間耐えてついに始まる2大ヒーローの激突も、パワーを駆使したアクションと言うよりは殺し合いと呼ぶべきハードなもので、爽快感は一切無い。無敵のスーパーマンに生身のバットマンがどう挑むのか、知恵比べ的な面白さはあるものの、バットマンが洗面台でスーパーマンをノックアウトする画を観たかったかと言われれば、答えはノーだ。

 何よりもこの対決を取り巻くムードがあまりにも沈痛すぎて、盛り上がりきれないのが辛いところ。終始お通夜のような自粛ムードはお祭り気分を否定し、「静かにしてなさい」と言われてるようで歯がゆさを感じるばかり。もちろんリアルさを求めて世相を反映したダークな作風を追い求めるのも一つの手だろう。しかし本作の彼らはスーパーヒーローと言うよりは疲弊しきった軍人のようで、作り手のやりたい放題につき合わされるがままに眉間にしわを寄せて望まざる戦いに身を投じる姿は痛々しくもある。キャラクターに対する愛もへったくれもないこの映画に、とてもじゃないがジャスティスは見当たらない。

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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生のポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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