映画『ヘイトフル・エイト』レビュー

無駄がない、故に長い。

 猛吹雪に見舞われ、次々と山小屋に避難する人達。ところが小屋のドアは壊れていて、閉めるためには釘で板を打ち付けて固定しなければならない。当然人が出入りするたびに釘は外れてしまうので、その度に打ち直す必要がある。劇中でしつこいほど繰り返されるこの場面。一体何の意味があるの?と思っていると、長い長い上映時間の末にきちんと解答が用意されているから驚きだ。

 タランティーノ映画は一見するとストーリー展開において必要無さそうなエピソードと無駄話に溢れている。じゃあいっそのこと全部カットしてしまえばスリムになるかと言うと、それではタランティーノ映画は成立しないだろう。ダラダラとした部分が実はキャラクターの個性を際立たせていたり、物語の大きな伏線になっていたり、映画全体の印象を決定付けるスパイスになっていたり。「どうでもいい」が積み重なってあっと驚く物語が仕上がるのだ。

 ほとんどが密室で展開する「ヘイトフル・エイト」は、まさにそんなタランティーノ映画の真骨頂。どうでもいいエピソード、会話がクライマックスに向けて巧妙に散りばめられていく。ただし3時間近くに及ぶ長尺のため観客は全ての点が線で結ばれるまでかなり待たなければならず、それに耐えられるかどうか。もちろん映画ファンなら何の問題もないのだが、一応ミステリーの体裁をとりながら1時間が経過しても肝心の密室殺人が起きないのはどうなのよ。

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ヘイトフル・エイトのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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