映画『1001グラム ハカリしれない愛のこと』レビュー

幸せの基準って?

 計量研究所に勤めるマリエは、病で倒れた父の代わりにキログラム原器を携えて国際セミナーへと出発する。頑丈な容器に入れた原器を片時も離さず大事に携行していた彼女だったが、自動車の自損事故で容器を壊してしまい、事態の収拾に奔走することになる。

 物の重さや長さ、ガソリンスタンドの給油量まで、世の中のありとあらゆる単位をチェックするマリエは、まさに“キッチリ女子”とでも言うべき寸分違わぬ精密さを持った典型的な生真面目人間。ところが私生活では夫との離婚という大脱線が現在進行中で、何事も尺度からハミ出ることを許さない彼女は曲がり角に立たされている。

 時計のように正確な彼女が狂った人生の歯車を前にして、本当に大切なものは何かを見出す物語。全編を通して描かれる物の尺度が、「果たして幸せには基準なんて存在するの?」とか「人生の重さって?」といった疑問の比喩として大きな意味を持ち、仕事とプライベートの狭間で揺れ動くマリエの現状に幾度と無くダブりながら問いかけられる。

 ただしすべてが「尺度」に帰結する物語は正直作り物感が強すぎるきらいもあり、結論ありきで作られたストーリーは予定調和の域を出ない。予告編を見てしまえば映画の八割近くは掴めてしまうので、お約束の展開を安心して心地よく感じられるか、それとも物足りなく感じてしまうかが評価の分かれ目か。幸せの基準と同様、面白い映画の基準も人それぞれなんです。

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1001グラム ハカリしれない愛のことのポスター
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奥 直人

映画暦15年。思いのままをレビューにぶつけていきます。

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