映画『映画 ひみつのアッコちゃん』レビュー

欲望のままに変身する、綾瀬はるかのコスプレイヤーぶりを楽しむ作品

ペニー・マーシャル監督の傑作『ビッグ』は、身長が小さすぎてジェットコースターに乗れなかった12歳の少年が突如、30歳の男性の身体を持った男(トム・ハンクス)へと変身する、ステキな寓話だった。身ぶりは子どものままで、玩具メーカーに入った彼は童心を忘れずに、次々とヒット作を生みだしていく。あの愉しさはそうした彼の「変化」にあった。

小学生のアッコちゃんが魔法のコンパクトを使って変身する。おもしろいプロットだ。この映画は、変身することの愉しさを伝えてはいる。だが、初めて大人に変身したときの「身体の変化」などを伝えていない。当然大きくなったおっぱいぐらい触るだろうし、ブラジャーの違和感も感じるはずだ。またハイヒールを初めて履いたときの歩きにくさもあるだろう。だが、そのあたりがごっそりと割愛されているので、「変身」が愉しめない(さすがに大杉漣に変身したときは笑ったが)。さすがに主人公のアッコちゃんを演じた綾瀬はるか(22歳役)は魅力的だ。また「変身前」の子役・吉田里琴(10歳役)も好演している。だがしかし、彼女はまるで欲望のままに変身しているかのようで、単なる「コスプレ大会」になってしまっている。

それに、物語の上でのハイライトを株主総会にもってきたのは、失敗だろう。小学生のアッコちゃんの頭脳レベル(こんなにバカだっけ?)では何が何やらチンプンカンプンで、おそらく観客も同様なはずだ。

誰に向けてつくったのか、大いなる疑問符だけが残る。それに愛猫しっぽなの造型がチープすぎる。

脚本家のクレジットに山口雅俊、大森美香、福間正治の3名の名前があり、さらに脚本協力に中園ミホの名前が。個々には最近もいい仕事をしているので、おそらくストーリーラインが制御不能になったのではあるまいか? 綾瀬はるかを使うなら、『ふしぎなメルモ』のほうが世の男性ファンは狂喜乱舞だったろうに。

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映画 ひみつのアッコちゃんのポスター
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サトウ ムツオのプロフィール画像

サトウ ムツオFreak

ライター/エディター/ムービーバフ(映画狂)。責任編集のムック『007 Complete Guide ジェームズ・ボンドはお好き?』(マガジンハウス刊、1,500円)が11月30日発売。好きな監督は、クリント・イーストウッド(神)、マーティン・スコセッシ(神)。

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