映画『スター・ウォーズ フォースの覚醒』レビュー

次代へ。

序盤は既視感。EP4へのオマージュ感満載。ジャクーの光景はEP6の大団円から数十年後の日常であり、倦怠を帯びている。抑えた色調、プロップのデザインも極めて堅実。EP4でルークは既に秘められた輝きを宿しており、レイ(D.リドリー)フィン(J.ボイエガ)にはそれほどの輝きが見えない。その描き方が大正解に見えた。70年代後半〜80年代は物量全盛の豪華さの時代。およそ40年を経た10年代には変転を経た諦観が漂っている。そんな現代の空気の移ろいを映画に見事に引き入れてみせた。EP1の高密度にギラつく世界に比べ今作は、荒れてしまった世界への新たな「冒険」という感じが強いのだ。

おれの隣には外国人の家族連れ。父母子供2人の4人。全員がコスプレしていた。片やおれは小学2年生の頃に、親父に連れられてEP4を観たのが、劇場で洋画を観る初体験だった。その衝撃は映画への志として刻まれている。隣に座る親父さんも、おれと同じように子供の頃にEP4を観たに違いない。そして今作を観た後に、子供に語るのだろう。初めての衝撃を。ルークのように葛藤を抱えた青春時代を。

人生に映画が重なり、映画に人生が重なってくる。40年に亘る世代を超えた物語は、そのまま現実の家族たちと歩調を合わせて進みだす。永く続くシリーズはある。けれど家族が続き、代が変わり、しかもそれが人生の年単位リアルタイムに合わせたような間隔で各話が仕上がってくるシリーズなど他にあるだろうか? 父親が子供にEP4を語る時のように今作を仕上げてきたJJは「適任」という他ない。

ラストカットに魂が震えた。VFXを前提としたカメラモーションとは明確に違う、シンプルな空撮回り込み。海を渡る自然の風と波濤が「人と人」を際立たせる。

分け合い、受け渡す、家族が、子供が欲しい。この映画は、今のこのおれにそう思わせた。おれはその事実に震撼した。進むしかない。

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スター・ウォーズ フォースの覚醒のポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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