映画『先輩と彼女』レビュー

都合のいい女

先輩を一方的に思う乙女チックな儚い恋の行方は、それが叶わぬものなれども一心に悩み慕い行動しさえすれば逆転劇のように実現するのだ、と言う表向きのテーマに惑わされてはならない。いかにも表層的でありガキの戯言ではないか。
主人公の女子高生は「みの先輩」を恋い慕うが、みの先輩は女子大生(1つ上の先輩)に思いを寄せている。一方通行路の恋であればあるほどその行方は一途であり健気であり純粋であり、この愛情比率のアンバランスは恋愛対象の感情に飲み込まれ、男のいいようにあしらわれてしまうので「都合のいい女」として性格悲劇と共に育成されてしてしまうのだ。事実、主人公はみの先輩の、あたかも玩具であるかのようにあしらわれ玩ばれ放置される性倒錯描写が頻出する。
片思いとは陶酔と快楽であり、一方感情のやり場がないだけにどのような方法を用いてでも愛情を獲得せんとストーカー化するなど病理の極限に達する。肉体の成熟と共に純朴な乙女を都合のいい女へと、都合のいい女を強健なおさせへと、おさせは剛健な二号さんへと変化するのは必至である。
映画鑑賞中、志尊淳が性的アピール(顎クイ、壁ドン、頭なでなで)を披露する度に、隣席の女子高生がむせび悶絶しながら両足をパカパカ開けたり閉じたりして、擬似ちちくりあいを堪能しているのを見るにつけ、なるほどこんな映画の楽しみ方もあるのだなあと甚だ感心してしまった。一方、このままこの作品を放置しておけば、ファンにさせてくれるAKB48の指原莉乃を、ナンパしてきた男にさせてくれる乃木坂46の松村沙友理を、母校の教員にさせてくれる欅坂46の原田まゆらを凌駕するであろうさせ子が無条件に肯定され、果ては第二第三の喜多川美佳の後継者が量産されるに違いないとの危惧に苛まれた。
とは言え昨今の少子化を鑑みれば二号さんを生み出す土壌は社会的な要請だと見做していいだろうから、ひとまず胸をなでおろした。

10
先輩と彼女のポスター
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弐個 四のプロフィール画像

弐個 四

本棚に並べたDVD画像をSNSで自慢げにさらすような大人にはなりたくない。

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