映画『プロメテウス』レビュー

宇宙船の細部にも宿るリドリー・スコットらしさ

 リドリー・スコット監督は広告畑出身だけあって、あの『ブレードランナー』の酸性雨がしとしと降る近未来ロサンゼルスのイメージを創るとき、真っ先に街にひしめくビルボード(巨大広告)から思いついたという。つまり、彼の映画は細部まで観逃せないわけだ。
 本作は“人類の起源”への答えを求めるべく、ギリシア神話の神の名を冠した宇宙船プロメテウス号で調査に行くという、いわばダーウィンの進化論をひっくり返すようなエピックな物語だ。人類を創ったのは天使か悪魔か?という深遠なる疑問への、巨匠リドリー・スコットならでは答えが示されている。
 細部という点でいえば、そのプロメテウス号が『エイリアン』のファンならファンならニヤリとせずにいられない「ウェイランド社製」なのが想像を膨らませる。宇宙船乗組員は約2年半に及び冬眠状態のような睡眠を強いられ、航海をする。その睡眠が人体へ及ぼす、多汗や嘔吐などの副作用が初めて描写された映画かもしれない。その直前の寝静まった船内はさしずめ『2001年宇宙の旅』のディスカバリー号船内のようで、不気味ささえ漂わす。ただひとり起きている乗組員デイヴィッドの退屈そうな日常。興じるバスケットボールのバウンド音が船内に不気味に反響している。
『エイリアン』のリプリー、『ブレードランナー』のプリス、『テルマ&ルイーズ』のテルマとルイーズ……。『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のノオミ・ラパスが、リドリー・スコット印の「戦う女」を演じている。その逞しさにまたも仰天するにちがいない。 

 と某サイトに書いたが、冒頭に登場した白塗りのエンジニアにかなり興ざめしてしまった。ゴジラ映画でゴジラを30分以内に登場させると失敗するがごとくだ。『アラビアのロレンス』のロレンスがもっともSF的に、ぼくには映った。

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プロメテウスのポスター
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サトウ ムツオのプロフィール画像

サトウ ムツオFreak

ライター/エディター/ムービーバフ(映画狂)。責任編集のムック『007 Complete Guide ジェームズ・ボンドはお好き?』(マガジンハウス刊、1,500円)が11月30日発売。好きな監督は、クリント・イーストウッド(神)、マーティン・スコセッシ(神)。

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