映画『セッション』レビュー

すごかった

 大学の教授のジャズの先生が海兵隊の新兵訓練の教官のような恐ろしいスパルタ教師で、先生のバンドの練習はトラウマレベルのしごきであった。「速い!」「遅い!」と超微妙なズレを指摘していて聴いているこっちはどう違うのか全く分からない。単に難癖をつけているようにしか見えなかった。

 しかし主人公もかなり思い上がりの強い人物で、似た者同士ではあった。音楽やその他の表現などはそのような強い自我がなければ魅力的なものにはならないと常々思っている。しかしそれだけでもダメで、他者からの共感を得られる何かや暖かいオーラのようなものもあった方がいい。

 主人公は最初は、先生に認められようと必死に食らいついて懸命に演奏する。その時は先生のための演奏だ。

 いろいろあって学校をやめて、先生も学校をやめてお互いプロとしてバンドを一緒にやることになる。そのバンドで出場したコンテストで彼は先生に怒りを爆発させて勝手に演奏をし始める。その時は自分のための演奏だった。先生に対して自分の凄まじい技量を見せつける演奏だった。それにつられて先生やバンドメンバーは演奏を合わせていく。大変な迫力の演奏だった。演奏している音楽はスタンダードな曲だそうで、演奏には元々の作者の意図はどれほど汲まれていたのだろう。またお客に対してなにかを伝えようと言う意図もない。ただ純粋に、特に先生に対して凄さを見せつけていた。

 敢えて言えば社会や世界に対してクソをぶっかけるような表現だったと思う。それもありだと思う。学校の標語で「ロックは才能のない者の音楽」というような貼り紙があったけど、ロックでありパンクの魅力だ。

 主人公は本当に学校に先生のパワハラをチクったのだろうか。また演奏の直前にそんな疑惑を主人公に対して先生が告げるのだが、その後演奏が滅茶苦茶になるに決まっている。どんな意図だったのだろう。

9
セッションのポスター
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古泉 智浩のプロフィール画像

古泉 智浩Freak

こんにちは、新潟在住のマンガ家の古泉智浩です。東京にもアパートを借りているんですが、テレビが無いに等しいので上京中は映画ばっかり見ています。新潟では映画館とWOWOWでよく見ます。

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