映画『人生はビギナーズ』レビュー

キャスティングの妙技。

展開は、ほぼ予告からの推測どおり。
でも、登場人物の動きやシーンの切り取りに、推測を超えた心地よさがあった。
役者のアップ、イラストのカットバック、母親と息子のお約束のコミュニケーション。
それらすべてに意志があり、効果的に観客の心に届く。

「サムサッカー」の時も感じたことだけど、ユーモアとオシャレ感とナイーブ度のバランスが好み。
そして、キャスティングが、パズルのピースがはまるようなしっくり感を、ちょっとの驚きとともにもたらしてくれる。

クリストファー・プラマーは言うまでもなく、
個人的には、ユアン・マクレガーは名優であることの何度目かの再認識をした一作。

主人公・オリヴァー(本作では、ほぼミルズ本人?)が置かれたシチュエーションはよくある事でもないし、うまく行き過ぎる展開もある。
でも、自分のストーリーとして追体験するスキを、この作品は観客に与えてくれていると思う。

シャレのめした職業に就きながら、38歳になるまで深い恋愛ができないのも、彼が単なるオクテなわけではなく、母親をはじめ人との距離感を「探る」ことで保ってきた結果。
父親の告白からコトは動き出すけれど、私は、母親との回想シーンに多くのことが語られている気がした。
40歳近くになって「ビギナーズ」である原因が、彼に魅力が欠けているからではないのだ。

環境は違うにしても、実はこういう人、少なくないんじゃないかな。
だはら、よくある「大人になれない」話とはちょっと違うと思わせてくれる。
これが、推測超えポイント。

タイトルとあまりにもストレートにリンクするラストも、なんだか素直に「いいな」と思えるのは、その瞬間までに、劇中の彼らを好きになっていたからだろう。

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人生はビギナーズのポスター
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茅野 布美恵のプロフィール画像

茅野 布美恵Freak

地方誌の編集者。映画は、ノンジャンルで鑑賞。基本的には、劇場で愉しむ主義です。その作品を観ないとわからないレビューになる傾向あり。情けない男が出てくる映画や、青春ものが好物。マイケルホリック(Michaelholic=マイケルホール心酔者)にして、パトリック(デンプシー)教徒。

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