映画『きっと ここが帰る場所』レビュー

ヨーロッパ人によるアメリカンロードムービー。

ヨーロッパ人は、何故だかアメリカでロードムービーを撮りたがる傾向がある気がする。この監督もイタリア人。ヨーロッパ人がアメリカでロードムービーを撮ると、必要以上にアメリカがキラキラしているように見える。なにか憧れがあるのだろうね。
ショーン・ペン演じる主人公は引退した元ロックスター。ミック・ジャガーと共演もする位大物だったらしく、印税だけで相当リッチな生活をしている。メイクや着ている物や引退した時期を考えると、ニューウェイブ系のバンドだったらしい。
音楽はそんな彼の音楽的バックグラウンドに合わせたのか、デビッド・バーン。タイトルの「This must be the place」も、トーキングヘッズの曲で、劇中で何度も歌詞が引用され、デビッド・バーン本人が本人としてかつてのミュージシャン仲間として登場し、ライブ演奏も劇中で披露している。この曲は後に様々なアーティストがカバーしていてそちらの方が知られているらしいが、若者が「この曲ってアーケイドファイアが演った……」と言おうものならすぐに「トーキングヘッズがオリジナルだ」と主人公が訂正を入れるという、トーキング・ヘッズラブな映画なのであった。なので、トーキング・ヘッズ好き、特にストップ・メイキング・センスが好きな人は観ると楽しいんじゃないかと思う。
ショーン・ペンの鬱状態の元ロックスターの演技が素晴らしい。飄々とした力の抜け加減、話のかわし方、子供なんだか大人なんだか分らないところなど、細かいところまで作り込んでいて感心。
しかしアメリカを横断すると、こんなに人って変わるものなのだろうか。ちょっと納得が行かない気も。だって人間、40才越えたら子供返りすることはあっても、そうそう変われないと思うのだけど。まあでも彼の場合、変わるはずだった時の前に時間が凍結されてしまったような感じでもあるので、時が動き出した、という話なのかも。

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きっと ここが帰る場所のポスター
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大串 京子のプロフィール画像

大串 京子

シアトルに本社があるゲッティイメージズという映画や映像や広告などの素材を提供する会社で何でも屋的な仕事をしています。

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