映画『テロ,ライブ』レビュー

闘えているか!?

この一人のキャスターの話は、観る私たちの話でもある。
なるべくネタバレしないように書いてみようと思う。

元TVキャスターが、ラジオ番組へ異動。
気の乗らない番組に入った一本の電話から、事件が始まる。

主人公のキャスター、ラジオ番組のディレクター、キャスターの上司、テロ対策チームのリーダー、警察長官…。
彼らが、それぞれの立場と事情を携えて次々と登場する。
その都度、「まぁ、このくらいの反則はありうる。人間だもの」と思わせながら、突然「そこまでする!?」「この状況で!?」と大きく一線を超えるシーンが重ねられる。
それでも観客は、「そんなはずないわ」「その判断、ありえない」と一蹴できないのだ。

劇中で描かれる「映画的極端なシチュエーション」はフィクションでありながら、私たちの蓋をした記憶をこじ開ける。
「まぁ、これくらい」と破ったルール、
納得しないまま飲み込んだ組織の判断、
必要だと言い聞かせながらついた嘘…。

いつしか観客は、主人公が迫られるギリギリの選択に自ら対峙している。
視聴率、人命、政治、謝罪…。
日和りそうになりながら、指一本で支え続ける「自分との闘争」。

彼は勝てるのか? 勝てたのか? そもそも勝敗に意味はあるのか?
この社会のなかで闘争に意味はあるのか?
私は、日々、闘えているのか?

いくつもの疑問は、観た後に生まれる。
ラストシーンの時点では、頭は真っ白。

傑作!!

9
テロ,ライブのポスター
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茅野 布美恵のプロフィール画像

茅野 布美恵Freak

地方誌の編集者。映画は、ノンジャンルで鑑賞。基本的には、劇場で愉しむ主義です。その作品を観ないとわからないレビューになる傾向あり。情けない男が出てくる映画や、青春ものが好物。マイケルホリック(Michaelholic=マイケルホール心酔者)にして、パトリック(デンプシー)教徒。

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