映画『わたしは生きていける』レビュー

ロック少女の白昼夢。

「つぐない」「グランド・ブダペスト・ホテル」のS.ローナンが主演。儚げで神秘的なルックが目を惹きつける。彼女が第三次世界大戦に巻き込まれた英国を放浪する、となれば一応観ておこうか、となる。

ここ何作か「人物造形」が気になるのだが、本作でもそうだった。メディアの垂れ流す女子ToDoにイラつき、安定剤か何かを常用する潔癖症の憂鬱なアメリカ少女が、いかにしてサバイヴするか。てことなんじゃないかなと思った。

彼女の動機は初恋。それはいい。けれど上手く行き過ぎてる。飢えの危機も暴徒の追跡もそれほど酷くはない。逃避行を取り囲む南ウェールズの憂鬱ながらも美しい自然は、そもそも打ち捨てられた滅びの雰囲気を背負っている。彼女の視線からみた「世界」があるだけで、初恋を取り戻す旅路を揺るがす何者かが出てこないのだ。

それは頼りがいのある兵士かもしれない。囚われた子供かもしれない。年老いた避難民かもしれない。今まで自分を愛してくれていた人間たちと離され、違う人間たちに引き寄せられる葛藤と、日々のサバイヴァルが縒り合わさるのを楽しみに期待するのに、デイジーの世界はヘッドフォンを被っていた日々と、さほど変わりが無いように見える。

だとするなら、彼女ならではの生硬さが、安易な生存を求めて戦場の狂気に流されそうになる自分を押しとどめるような描写も欲しかった。ロック少女がヘッドフォンの音楽に浸ったまま描いたファンタジーを見せられているような脆さばかりが目立っていた。

個人的には「28日後」的なキリキリする生命感がほしかったんだけどな。

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わたしは生きていけるのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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