映画『ルパン三世』レビュー

「泥棒」やってよ。

アニメで確立したキャラクターを生身の役者に翻案する。やり応えのある仕事だが丁寧にやってくれないと困る。「スパイダーマン」に「マン・オブ・スティール」がどれほど序盤で人物造形に手をかけたか。

現代に何故、何のために「大泥棒」なのか。金融データでなく財宝が人間の欲望とロマンを掻き立てるのは何故なのか。そして「ルパン三世」は何故「ルパン」を冠する男になったのか。そこまで描いて初めて、生身の俳優たちが「ルパン三世一味」として立ち上がるのではないだろうか。

小栗旬や黒木メイサを始めとする役者陣の奮闘には疑いない。アニメ版のプレッシャーが重くのしかかる中、キャラクター造形を裏付けるホンも演出もないままに、しゃれた台詞の小芝居と復讐アクションだけでは辛かったのではないだろうか。

原っぱの戦場で重火器を備えた戦闘集団に少人数で殴りこみでは、泥棒ではなくエクスペンダブルズだ。あの行為は「奪う」であり「盗む」ではない。「盗む」ならスマートにこっそりと、相手に盗まれたことさえ気づかせずにやって欲しい。

そして財宝は世界の貴族社会の中で隠然と取引される。欧米のオークションなどで明らかだ。そこに華麗に分け入るルパン三世を観たい。現実のほうが映画より余程洗練されている。

ルパンは変装で俗人に紛れて情報を集め、不二子は美貌と才覚で金持ちから軍資金を巻き上げ、次元は愚痴を垂れつつもルパンを支え、五ェ門は膨大な読書量で謎を解く。そんなチームアップを観たい。全員がどこかで見たような破壊アクションの奴隷になっていてはいけない。

富豪の武装集団にタイの貧しい群衆をぶつけて撃たせずケムに巻くような頓知があったっていい。ルパン三世一味に欲しいのは「悪徳」も含めた「徳」なのだ。

あと、吹き替えするなら、外国人相手には全員ガチで英語芝居させても良かったんじゃないかな。世界を股にかける大泥棒たちなんだから。

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ルパン三世のポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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