映画『ビフォア・ミッドナイト』レビュー

「この人だと思える理由」

第1作でメロメロになった自分としては、本作はなんだかセリーヌとジェシーが普通のカップルに見えて、序盤はどうにも気持ちがのらなかった。
けれど、チクチクとジェシーを試し責める彼女はクレバーで魅力的な紛れもないセリーヌだったし、それを交わす彼は、夢見がちだけど欲しいものを間違わない「ジェシー」に間違いなかった。
同じ方向を向いて座り、沈みゆく太陽を見つめる目の前の2人。
彼らに「あの2日間」を重ねながら、18年のストーリーを紡ぎ始める自分。

そして、ちぐはぐと噛み合わない2人のやりとりの末、お互いに「この人だと思える理由」が見えてくる。

この2人もう終りかも…と思い始めた瞬間、ジェシーの言葉が大きくオブジェクションを掲げる。

「ぼくは、18年前に君と恋に落ちた男なんだよ」という彼の言葉が、
今ここで言い争っているのは、「ぼくらなんだよ」と聞こえる。

もしかしたら、言葉を交わすこともなかったかもしれないぼくら。
もしかしたら、再会などしなかったかもしれないぼくら。
けれど、その両方を選べたぼくらなんだよ、と。

現実にまみれても、続く愛を信じさせてくれるリンクレーターのまなざしに完敗にして乾杯。

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ビフォア・ミッドナイトのポスター
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茅野 布美恵のプロフィール画像

茅野 布美恵Freak

地方誌の編集者。映画は、ノンジャンルで鑑賞。基本的には、劇場で愉しむ主義です。その作品を観ないとわからないレビューになる傾向あり。情けない男が出てくる映画や、青春ものが好物。マイケルホリック(Michaelholic=マイケルホール心酔者)にして、パトリック(デンプシー)教徒。

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