映画『FORMA』レビュー

気づかぬうちに浸透する圧力。

カメラが動かない。寄らない。それが現実の目線。そして「何かが起こっている」ことに観客が気づくまで、次のカットに行かずに待つ周到さ。そのリズムが「圧力」を醸しだす。この撮り方は、相当肚が据わってないとできない。

腑に落ちないところもそこそこある。そもそも綾子(梅野渚)が由香里(松岡恵望子)にそんな確執があったなら、すでに高校時代にモメていておかしくない。それが社会人になるまで先送りにされていたのは何故なのか。

なので、事前の評で話題の「クライマックス24分の長回し」に来たところで、一番気になっていたことは明らかになったのかなっていないのか。観る人によってその濃淡が違うことになる。気になる人はなる。ならない人はならない。その辺の未回収も計算のうちなのか。肚の据わりなのか。

綾子の側から描き、中盤から由香里の側を描き始めることで、圧力が増幅する。ほとんどの抑圧は言葉を経ない。誰もが持つ小さな鬱屈が立ち上り空間に満ちた瞬間、まとまった同調圧力に変わる。その源が恋人や家族でも変わらない。重く動かぬカメラに仮託されたのは、そんな絶望かもしれない。

気になる「先送り」はラストに来るのか。聞こえるような聞こえないような応酬。現実に起こる様々な惨い事件。その底流に、メディアには載らないあの応酬がある。重い圧力に舌を巻く。気合入れて観ないと力を奪われる。実際、結構疲れた。あそこから抜け出る未来は見つかるのか。

今後どんなのを撮るつもりなんだろうか。この撮り方で明るいほうに行くなら、どんな映画になるだろうか。

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FORMAのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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