映画『STAND BY ME ドラえもん』レビュー

決まった未来って幸せ?

予告編の「激しさ感」も相まって、期待が大きすぎたかもしれない。個人的には都市伝説版の最終回「のび太が科学者に…」バージョンを期待していた。よく考えたら山崎貴監督が「ジュブナイル」でその片鱗を映像化し、藤子・A・不二雄先生に献辞までしている。今作では原作の根幹に殿堂入りのエピソードを積み重ねて仕上げてきた。

無数のエピソードがある原作。本作に選ばれたエピソードは傑作選的な形で、老若問わず既読のファンも多いだろう。高密度の3DCGによってお馴染みのエピソードが仕上がっているのはいかにも豪勢だ。その中で、のび太は空を飛び、吹雪に抗う。

しかし、作りが幼いままだ。「未来に帰るな」とプログラムされたドラえもんは、のび太に請われて彼とともに未来に戻る。相反するコードが衝突するときに何が生まれるのか。幼いのび太が会った大人ののび太は、ドラえもんからどう独り立ちしたのか。

USO800の挿話は確かに名作だ。しかしここまでのび太の成長を描いておいて、最後にドラえもんが戻ってくると、またぬるま湯の日々が続くのかと、逆にがっかりする。ドラえもんがいるわ、幸せになる未来は決まってるわ、もう大丈夫じゃん。例えいい未来だとしても、決まった未来へ生きるなんて、そんなことでいいんだろうか。

そもそも「幸せ」って何だろう。努力の末に何かを得ても、それは一瞬後に揺らぎ始める。「幸せ」はそこにあるものではない。生きるうち一瞬一瞬にふと感じることで、それは不断の歩み無くしては得られない。そんなことが物語からは読み取れない。

せっかくならUSO800を使ったあとに、うっかり「うれしい!ずっと一緒にいる!」とのび太が叫んでしまった後の話を描いても良かったのでは。うっかりの一言でドラえもんと決定的に別れてしまったのび太が、ドラえもんのようなロボットを作る夢に目覚めて走り出す。どうかな。厳しすぎるのかな。

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STAND BY ME ドラえもんのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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