映画『るろうに剣心 京都大火編』レビュー

「闇」が入ってきた。

三部作ともなれば二作目はダレがちだけど、よく保たせた。数多くの敵による丁寧な襲撃の重ねで剣心(佐藤健)の「闇」を掘り起こす。新しい時代に取り残される闇の重さが、前作より重く不穏に伝わってくる。

その不穏さの元凶が志々雄真実(藤原竜也)だ。喉を震わせ腹の底から剣心の殺意を煽る声がいい。冒頭の篭城戦で警官たちを吊し焼く行為には「十三人の刺客」の松平斉韶にも通じる「肉体を損壊する」残忍さが漂う。そりゃそうだ。自分がそうされたんだから復讐にもそれはついてくる。

誰かの「闇」を掘り起こすには、本人ではなく本人が大事にしている何者かを責める。古今常套の手で薫(武井咲)が焼かれるか…!とまで思った。どうなるかはお楽しみ。それだけではなく、名匠赤空の最後の一刀を巡る張(三浦涼介)との剣戟で「戦も流血も知らぬその赤子こそ新時代の申し子。その子は命に代えても取り返す」と宣言する剣心の志に震える。闇を克服するために自らを奮い起こす言霊。こういうのは若者に贈るエンタメには大事なのだ。

重量級の殺陣、殺陣、殺陣!咥え煙草で有象無象を切り捨てる江口-斎藤、剣心への鬱陶しいまでの執着を長刀に載せる伊勢谷-蒼紫、それを年月浸みた鋼の肉体で迎え撃つ田中泯-念至、そして怜悧ながら蛇蝎の上手さを披露する神木-宗次郎。これだけの手練れがこぞって現れる贅沢。最終編の藤原-志々雄との激闘まで興味が尽きない。

活人剣云々を前作で語りきっているので、この運びは潔い。そして三部作の中盤ならではのモヤモヤ感を、半音を駆使する重厚な劇伴とともに、志々雄が醸す残忍な不穏さに打ち換えていることが演出の勝因だ。駒形-メアリージュンもいいぞいいぞ。

ラストカットの御方には期待がせり上がる。邦画でもサーガが作れる。史実を脚色して編まれた裏日本史。闇に消えていった「隠」たちが駆けた空は、きっと現代にも続いているのだ。次観るぞ!

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るろうに剣心 京都大火編のポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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