映画『GODZILLA』レビュー

超越者の帰還。

本作を観る前に1954年(昭和29年)の第1作「ゴジラ」と合わせて、今作の監督G.エドワーズの出世作「モンスターズ 地球外生命体」を観ておくことをお勧めする。3.11を過ぎた夏に日本で公開されたのは天の配剤。「人間が入れなくなった場所」が生まれたこと、そこに敢えて踏み込むことが人間の生命感を削りだす様を克明に描いている。

怪獣は英雄でも悪役でもなく、人間を超越した「生物」だ。第1作で作り手は彼に戦争と科学の影を背負わせたが、今作ではその影に立ち向かう組織が登場する。登場人物たちの挑戦は、本作の第1作への挑戦に重なる。現代日本の状況を翻案した序盤は、リスペクトと皮肉を両立させていて巧みな匙加減だ。

本作での彼の位置づけは、多くの評の指摘どおり、金子修介監督・樋口真嗣特技の平成版ガメラ3作に近い。しかし彼がホノルルに引き連れてきた災厄は、恐怖を呼び起こして余りある。彼に人間の都合など関係ない。

共通言語を持たぬ彼に、造形と動きで語らせる技に舌を巻く。背びれを見せて太平洋を遊弋する彼を米軍船が挟む様には、彼への敬意さえ伺える。上陸前に一瞬止まって尾を翻す様が「知性」を示す。それが終盤の「殺陣」に説得力を持たせる。筋骨隆々な立ち姿、泳ぎだす身のこなしのしなやかさ、生物としての完全さ。

その咆哮は観る側を押しつぶす暴風。そして人間の「巨大な力」への憧れ。核を生み出しながら制御できない人類を叱咤する超越者さえ、想像で作り出す人間の矛盾。「彼」は帰ってきた。「彼」ともに生きざるを得ない人類の未来はどうなるのか。単なる破壊アクションを超えて、知性と生命への探究心を刺激するところまでは、今作はたどり着いたと思う。

問題はここからだ。続編があるなら、G.エドワーズ監督にはその独特の思索をさらに磨いて、怪獣映画の新たな次元を切り拓いてほしい。もちろん芹沢(渡辺謙)を語り部として。

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GODZILLAのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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