映画『穴(1960)』レビュー

リアルなプリズンブレイク

ジャック・ベッケル監督の「穴」を久々に鑑賞してみる。この映画、やっぱりスゴイ。脱獄映画っていろいろあると思いますが、ここまでリアルというか、脱獄ってこうやるんだな…と思わせられる映画もないんじゃないですかね。とにかくディテールに凝っているというか。

はじめ、床に穴を開ける時に、あれだけ大きな音を出しながらなぜ気付かれないのか、という疑問は置いておいて、床をガツンガツンたたきつける「だけ」のシーンを長回しで見せるのがなぜかやたらと効果的で、気がつけば画面から目が離せなくなっちゃうんですよね。小道具の使い方、機転の利かせ方、そして長回しと音の効果。穴を掘る場面といい、ヤスリで檻を削る場面といい、過剰なくらいじっくりと時間をかけて見せられますが、それがものすごく臨場感を生んでいて、まったくいやみな演出になっていないところに感心しきり。セリフと効果音以外の音がまったく使われていない映画でもあるんですが、それでも雰囲気をここまで盛り上げることが可能だという、一つの好例じゃないでしょうか。

あ、あと脱獄するためにメンバーで力をあわせて頑張る、というとてもシンプルなプロットではあるんですが、しっかりと一ひねり効いていて、観終わった後に「情けない奴だ」と言ってみたくなります、きっと。

ここまでリアルな演出に凝りながらも、エンターテイメントとしても成立している映画、脱獄映画に限らずそんなに多くないと思うし、結構貴重な作品だと思いますね。

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穴(1960)のポスター
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橋向 昭一のプロフィール画像

橋向 昭一

馬と自転車が好きです。

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