映画『ジゴロ・イン・ニューヨーク』レビュー

「ヤンジイ」も優しく飛び越して。

どんな経緯だかしらないが、主人公フィオラヴァンテ(J.タトゥーロ)にジゴロ稼業を進める親友マレーにウッディ・アレンを持ってきた。この軽口と勢いで勧められたら「ま、しゃあないか」と乗せられてしまう。アレン自身が飛びぬけて「助平」なのだろう。今に始まった話じゃない。

モテたいモテない男たちにとって、この映画はなかなかの教科書になるのかも知れない。フィオラヴァンテは自分を飾らず多くを語らず、身の丈のままに気遣いで雰囲気を作る。ジゴロは「愛の時間」を演出するだけだから、本当の自分がどうなんて主張しない。それがイイ。仮面をかぶって演じる仄かな愉しさが銀幕からにじみ出る。やはり大事なのは、花と料理と優しい手。

親友にジゴロをさせながら、妻と睦み連れ子たちと野球に興じるマレーは、枯れた人生もサイコーに楽しんでいる。マレーがアヴィガル(V.パラディ)に「セラピー」を勧めたのも「ちょっとでも楽しい人生」を提案したい優しいおせっかいなのだろう。黒装束の男どもに囲まれて連れ去られる様も可笑しくてしょうがない。

パラディのみならず、初の客を演じるS.ストーンが凄い。登場カットはドレスの足元から割れた背中を舐め上げ、振り返って堂々の美貌。積み重ねた年月を味方にした厚みある色気。これもセクシーなレズ恋人とのおしゃべりで、フィオラヴァンテを「ピスタチオ」と例える言葉の選び方が堪らない。

収まるところに収まったと思える切ないラストに、軽いジャブ一発。フランスからNYにやってきたと思われる、脇役には惜しい美女(というか個人的に彼女が一番好み)。ギリギリ手が届きそうな存在を置いておくことも忘れない、オトナを通り越した男たちへの人生賛歌。「ヤンジイ」なんて気張らずとも、誰にも恋心はある。日々を楽しめば「お愉しみ」はやってくる。

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ジゴロ・イン・ニューヨークのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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