映画『ひゃくはち』レビュー

ベンチ入りの為の悲喜交々

4年前の北京オリンピック開催中。まだオリンピック種目だった野球の3位決定戦、日本×アメリカをぼけーっと観戦していた週末。「今日は何の映画みっかなー…」と映画サイトを物色していたところ、高校野球を題材にした「ひゃくはち」という作品に妙に心惹かれた。ふとTVを見ると日本代表の落球エラーを目の当たりにし、これ以上試合をまともに見てらんない!という気持ちで、劇場に足を運んだのを覚えてる。

さて、映画の出来はというと。自分がスポ根青春映画が大好きだということを差し引いても、もう素晴らしいの一言に尽きましたね!直球ど真ん中のストーリーではあるけど、テンポといい、演出といい、オチのつけ方といい、個人的には非の打ち所がない映画でした。

ともにレギュラーを目指し、苦楽を共にし、ライバルにもなり、でもお互いを気遣う友情。そんなスポ根映画ならではのコテコテな部分を話の軸に据えつつ、そんな中に、例えばタバコを吸いながら「喫煙を問題にしたら半分の高校が出場停止っすよね」なんてことを記者に嘯く主人公だったり、裏金問題を仄めかすような、野球部監督とプロ野球チームのスカウトとの接待シーンだったりと、高校野球が抱えてる問題点も皮肉っていたりして、ついついニヤリとしてしまったり。

野球をテーマにした作り話って、弱小だったチームが主人公を中心に強くなっていく様を描くことが多いと思うけど、この作品の場合は甲子園出場が当たり前な強豪校で、ベンチ入りできるかどうかぎりぎりな実力を持つ主人公という設定が斬新で、それがストーリーに対するリアリティを持たせているのがとても面白かった。そしてラストの爽快感。私は大笑いしながら大泣きしちゃいました。

高校野球に多少なりとも思い入れがあればさらに面白く鑑賞できるかもけど、そうでなくてもスポ根ものが嫌いでなければかなり楽しめる映画かと。夏の甲子園が始まる前に是非。

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ひゃくはちのポスター
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橋向 昭一のプロフィール画像

橋向 昭一

馬と自転車が好きです。

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