映画『プロメテウス』レビュー

リドリー・スコットによる映画表現の革新

ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』に始まり、「映画の進歩はSFと共にあり」というのが持論。数々のSF映画が当時最先端の技術と創造性でもって、映画表現を革新してきた。この『プロメテウス』もその流れに連なる作品である。
『エイリアン』『ブレードランナー』…リドリー・スコットも「映画の革新者」の一人である。しかし意外にも「SF映画」を手がけるのは本作でようやく三作目。もっと多い印象があるかもしれないが、『グラディエーター』『ブラックホーク・ダウン』といった非SF作品でも巧みにVFXを駆使してきた事による錯覚である。リドリー・スコットはあらゆるジャンルの作品に、常に業界の最先端を走りながら挑み続けてきた。
30年ぶりのSFへの挑戦である本作はまさにリドリー・スコットの美学・映像表現の到達点と言える。圧倒的ビジュアルセンスと素晴らしい3D効果は、同じく革新者であるジェームズ・キャメロンの『アバター』をも上回る。
またご存知の方も多い通り、本作はリドリー・スコット自らによる『エイリアン』の前日譚である。しかし同時に「創造主」という題材は『ブレードランナー』への再訪とも言える。マイケル・ファスベンダーが演じるトリックスター的なアンドロイド、デヴィッドが実に素晴らしい。まさにリドスコSF映画の総決算(三本しかないけれども)。
しかし手放しに褒められない要素も存在する。B級映画的筋書きは上等(『エイリアン』も大作ではなかったし、その元ネタは『バンパイアの惑星』『恐怖の火星探検』)だが、辻褄合わせ以前に根本的な説明が足りていない脚本には賛否が分かれるだろう。
それでも尚、「映画表現の最先端」という意味で本作はSF映画の大傑作だ。説明不足な点も製作発表された続編で明らかになるに違いない。『ブレードランナー2』まで控え、70歳を超えた今でも最前線で戦い続けるリドリー・スコットの神業に酔いしれろ!

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プロメテウスのポスター
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岸岡 卓志のプロフィール画像

岸岡 卓志Freak

孤高のイケメンチェイサー。映画に関する文章を書かせていただく等、地方都市から「映画」の素晴らしさを発信すべくがんばっています。

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