映画『X-MEN:フューチャー&パスト』レビュー

この14年は何だったのか

X-MENシリーズ最新作は前3部作を改めて締め、新シリーズへ橋渡しせんと「ターミネーター」「猿の惑星」よろしくタイムトラベルを用い、これまでに生じた矛盾をなかった事にしようとする。そんな!さして面白くもないのに14年間も付き合ってきた僕らは何だったんだ!

いやいや、仕方のない事かもしれない。アメコミ映画ブームの先駆けとなりながら同じマーベル版権のソニー「スパイダーマン」、ディズニー「アベンジャーズ」にクオリティも興収も劣り、「ファイナルデシジョン」は目も当てられない駄作で終わっていた。マイノリティの悲哀と怒りをテーマに持つ「X-MEN」を映画化するのにブライアン・シンガー監督は遊び心もオタク心も足らな過ぎたのだ。
ところが気鋭のオタク監督マシュー・ヴォーンが登板した「ファーストジェネレーション」でシリーズには一気に活気が漲った。ジェームズ・マカヴォイの躍動感、マイケル・ファスベンダーの色気はようやくキャラクターに命を吹き込んだと言っても過言ではない。何より60年代スウィンギングロンドンとX-MENのマッシュアップはヴォーンの個性(製作を務めたガイ・リッチー映画)と想像以上に相性が良かった。

残念ながらブライアン・シンガーの生真面目で器用貧乏な個性はヴォーンの築いた路線を踏襲しきれていないし、そこにアベンジャーズ陣営との見劣りを感じてしまう。カタルシスのないアクション、均等に見せ場がないオールスターキャストといった欠点の数々はマーヴェルスタジオがいかに監督の個性と原作の相性を見誤らず、総合プロデュース力に長けているのか逆説的に証明してしまっている。マーヴェルよろしくエンドクレジット後に次作「アポカリプス」の予告を入れるなど、FOX陣営がアベンジャーズから影響を受けているのは明らかだ。新シリーズはよりマーヴェルのスタイルを踏襲するであろうし、それが急務だろう。

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X-MEN:フューチャー&パストのポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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