映画『アナと雪の女王』レビュー

書いていい?

みんな絶賛なんで書きづらいなーと思っていた。途中で数分寝てしまったので、観た人と記憶を照合したのだが大した欠損ではなかったので、書こうと思う。

「Let It Go」が流れるとき、エルサは一人だ。他にその高揚を受け止める誰もいない。その孤独が気高いのか切ないのか。しかし「ありのままで生きる」と決意したはずのエルサは、結局「自分をほっといて結婚を決めた」アナにほだされて、再び自分の力を封じるわけだ。

「ありのままで生きる」のなら、どうせ孤独なのなら、その力で一度は思い切り暴れてほしかった。城を築いた後は、戴冠式まで引きこもりだったのだから、雪嵐に乗って世界各国を巡ればいい。彼女が通ればどんな風光明媚な場所でも千キロ先まで凍りつく。寂しさはいや増すだろう。そしてその寂しさを埋めるため、猛威にひれ伏した王族から飛び切りの王子たちを根こそぎ奪ってきてもいい。

それでも孤独は埋められない。なぜこんな力が身についた?自分の人生にとってその力の意味は何?そんな悩みにたどり着いて初めて、エルサと観る側が感覚を共有できる。誰もが苦闘する「自分に内在する壁」に、もっと厳しく直面させねば面白くない。外部との強烈な衝突を経ずに同調圧力たる「家族」の下に戻ってしまっては、家出した小娘と変わりない。

強大な力を制御できずに疲弊して内向くアメリカを反映していると感じる。そしてそれは日本でも変わりない。本作を熱狂して迎えている空気の底に、数百万人が一斉に幼児帰りするような不気味ささえ感じてしまう。

「Let It Go」を歌いながら赤道直下の高空を飛ぶエルサの遥か下で、熱気と衝突した雪嵐が雨となり砂漠を潤し緑を育んでいく。それがエルサが気づいた彼女だけの使命。そしてエルサが羽を休める場所は常に、孤独な氷の城。そんなのがカッコいいと思っちゃうんだけどな。アナ?アナは幸せにやってればいーんじゃない?

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アナと雪の女王のポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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