映画『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』レビュー

森でモリモリ。

ベッドシーンがあるわけでもないのにこの映画はエロい。化粧っ気なくサバサバの直紀(長澤まさみ)が雨に濡れて見せる頬の艶、冬に羽織るジャージの奥のニットの曲線。一方みき(優香)は村を支え生殖を迎える「生き物的」な色気に満ちている。元々、矢口監督は「生命感」を宿す撮りが得意だと感じていた。今作ではその真骨頂が味わえる。

そして女よりも男が盛大に脱いでいる。ヨキ(伊藤英明)の野性味も、敢えて鍛えず臨んだであろう勇気(染谷将太)の普通さも、親方(光石研)や重鎮(柄本明)まで、その裸に虚飾がない。だから、祭を頂点にした山村での暮らしから伝わる生命感が「近い」のだ。

仕事の所作も見逃せない。急斜面の足元、チェーンソーを構える腰、巨木の先にたつバランス。木と共にいれば違う景色が見える。一癖ある役ばかりだった染谷将太のイキイキ感も「発見」した感じで嬉しくなる。

植えてから数世代先に初めて評価される仕事。森の安寧と世代の繁栄を祈る祭。少年の林業者としての成長物語に、世代を超えた杣人(そまびと)の歴史が重なる。霧の中CGにも頼らず「神なるもの」を描ききる胆力は、「森」「山」「人」を描き積み上げた映画の背骨に裏付けられている。

祭は壮大の一言。神木を征した男衆に、女たちが群がる。クライマックス一連の結びは、実は人間の生き物としてのクライマックスに重なるのだ。ただ「抱きたくなる」そんな高揚感に満ちている。そしてそれは、虫がたかり建物が古びてウォシュレットもない「ケガレ」を伴う山村だからこそ際立つのだ。

単なる「お仕事ムービー」を一歩超え、人間の原初の歩みまで見遥かす、実は超大作。WEBでつながれる時代だからこそ、都会から林業に向かう若者たちが、この映画で増えるんじゃないかと本気で思う。それほどに健やかな「モリモリ」映画なのだ。もちろん向かった先の村に長澤まさみ級の美女がいるかは判らんが。

8
WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常のポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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