映画『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』レビュー

仮面こそ素顔。

観ている間は、とにかくさまざまな角度から仕込まれた脚本に舌を巻いた。デイヴ(アーロン・テイラー・ジョンソン)はヒーロー仲間と、ミンディ(クロエ・グレース・モレッツ)は高校の連中と関わることで相互に人生を変えていく。

ヒーローであるが故に近しい人に災厄が及ぶという定石、災厄を迷わず受け入れるデイヴ父。ハブられたミンディを勇気づけるデイヴ。ミンディ=ヒット・ガールが目立つが、実はデイヴが物語の明確な軸になる。スラングと暴力だけで済んでいない。物語で人物を「育てる」ことが、ハジけてもブレない、語らせるけどベタにならない、的確な動きと台詞を生む。

そしてミンディ。初めて女子の世界に踏み込み、イケメンにハフハフするのはベタだけど可愛い。数多くの悪人を切り倒してきた猛者もスクールカーストの抑圧には心折れる。勇気づけるデイヴの言葉「相手の得意技で相手を倒せ」は簡単じゃないが、本当にデキる奴と見込むからミンディにもそう言う。甘いようで実は侠気シーンなのだ。

それでも一番好きなカットはラスト一歩手前。ヒーロースーツを脱いだ仲間の一人が、悪を見てどう動くか。そう、それなんだ。膝を打った。彼が一番カッコ良かったかもしれない。

残念なのはクリス(クリストファー・ミンツ・ブラッセ)。どうせなら事故で無く故意で母親を殺すとかして極悪を始めるべきだ。母親のSM衣装をかぶって「マザーファッカー」では迫力もない。力も智もなく金だけだと惚れない。デイヴやミンディを育てるなら、クリスも本当の悪に育ててほしい。

ラスト、デイヴの選択は「現実に/社会に対処する」こと。対処するには武装が要るが、彼らにとってそれは仮面の下の素顔。逆に言えば仮面こそが、現実から離れた内奥にある、彼らの「素顔」。この逆転を発見したことがイイ。いつか「素顔」を取り戻すために今を戦う。過激なようで意外とマジ。誠意ある仕上がりに拍手。

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キック・アス ジャスティス・フォーエバーのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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