映画『スノーピアサー』レビュー

キチ◎い特急。

人々を閉じ込めて爆走する列車は地球の暗喩。限られた空間と資源。少数の独占と多数への圧政。列車の外は極寒で逃げ場無し。

生理的に訴えるカットの積みが上手い。それが終盤のカーティス(クリス・エヴァンス)の語りに効く。作劇にも感心。主役とバディの思いは各々少しずつ違い、その違いが気付きや予想もしない未来を生む。寓話に引っ張り込む腕力が半端ない。エグい話をギリギリの品とウィットで上げてくるポン・ジュノ監督にいつもながら感心してしまう。バンドデシネに自身の世界への視線を縒り合わせ、韓国発祥の個性に普遍性を獲得させている。見上げたものだ。

列車を社会に見立てると、その選択は「社会に残るか」「社会から出るか」。その一枚上を行くラスト「社会自体を脱線大破させる」。破壊と再生の表裏一体。人間の恐ろしい可能性を爽快に描き飛ばす。

エンドクレジットを読みながら感心しっぱなし。ポン・ジュノ監督を中心に、プロデューサーや映画制作プロダクション、映画配給会社など韓国の映画産業の枢要が相互協力し、韓国の政財界まで巻き込んでこの映画への製作融資を募り、内外へ広報発信し、海外との撮影強力やキャスティングも取り付けている。日本映画とは比べようも無いくらい「力」がある。政治力、伝播力、製作力。このクレイジーな特急列車に同乗したい。

日本人は、映画もそれ以外の領域も「心の壁」を倒せていない。同調圧力。若手の挑戦を年寄りが潰す。本質的に若く聡い者に対する「嫉妬」が強すぎるのだ。隣国の仕事のレベルは次元が違う。そしてアニメや小説などで豊穣なストーリーを描ける日本人に、同じレベルの仕事をやれないわけはない。このままだとスポイルされ、エネルギーを年寄り社会に吸い上げられておれたちは終わってしまう。世界でも相手にされなくなる。個で生きられるようにならないとマズい。本当に国外に逃げようか。マジで焦る。

8
スノーピアサーのポスター
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1
Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

映画『スノーピアサー』に対するDaisuke O-okaさんのレビューにコメントする

こんな作品もレビューされてます

凪待ちのポスター

heyheyheyboy いつのひにかまたしあわせになりましょう

 久しぶりに背中でも感情を表現する事ができる役者さんを見た...

7号室のポスター

じゃない方・・・

 日本の70年代のテレビドラマのような作品。 派手な事件は...

ガラスの城の約束のポスター

論理よりも心理(感情)

 ウディ・ハレルソンとナオミ・ワッツ。 ホームレスを演じ...