映画『ハイ・フィデリティ』レビュー

ダメ人間の自覚と焦り

この映画を初めて鑑賞した時、洋楽ネタは全然わからなかったけどとても面白かった。いや、共感できたというべきか。ちょっとしたネタを元に、自分のBEST5を考えちゃうことってありません?思うに、そういう思考傾向が強い人は大抵オタク的素養を持っていると思うんですが、自分を振り返るとまさにそういう傾向があるわけで、そりゃぁ主人公たちに感情移入してしまう、ってもんですよ。

さてこの作品の場合、(特に音楽の)オタク的素養にあふれている仲間たちと、そうでない人たちのコミュニケーションのギャップが面白おかしく描かれているわけですね。例えば、音楽仲間バリーがお客さんに対して自分の趣味に合わない曲をさんざんけなしたあげく、自分の嗜好を押しつけるシーン。ここで「あぁ、わかるわかるw」と思ってしまった方は危険です。あなたは、オタクを通り越してダメ人間側に片足を突っ込んでいます。そして、自分もそっち側の人間だったことに気づいた瞬間、単に笑えるだけの映画じゃなくなってくるのが、この作品の恐ろしいところだったり。

主人公ロブは、人間関係だったり、自分の将来に不安を持っていて、それを乗り越える努力の代わりに音楽という自分の心のよりどころに逃げようとしがち。だらだらと目標も無く仕事を続けるロブの姿と焦りにはなんだか自分を投影しちゃうわけですね。初めて鑑賞したときは、「あ、俺も同じだ、アハハ~」と笑って済んだところが、年をとる(=ロブの年齢に近づいていく)につれて「俺も同じだ…、あれ?ハハ…」と痛くなってたりする。でも、気づけば年に1回くらいの頻度で鑑賞している自分もいたり。なんなんだろうね、この中毒性はいったい。

音楽映画としても、コメディ映画としても、恋愛映画としても、そして人によっては自分を見つめる映画としても楽しめるので、少しでも興味に触れるキーワードがあれば是非鑑賞してみることをお勧めします。

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ハイ・フィデリティのポスター
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橋向 昭一のプロフィール画像

橋向 昭一

馬と自転車が好きです。

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