映画『愛と誠(2012)』レビュー

怪作にして珍作。

三池崇史監督作としては、自分が観た中では、「カタクリ家の幸福」以来の珍作かも。
「愛と誠」は、映画もテレビドラマもアニメも見てないけど、小学校高学年の頃、クラスで原作マンガが大流行して、クラスメイト同士で「愛と誠ごっこ」で遊んだものだった。私もマンガ全巻揃えて、早乙女愛の似顔絵を描いたりしてたので、原作の世界にはとても馴染みがある。かなり長い話だし、大幅にやらかしている、との話だったので、もっと原作から大きく逸脱した内容かと予想していたのだけど、意外にも大筋や登場人物は、原作にかなり忠実。あの何でもアリの大大河ドラマを要素だけでコンパクトにまとめてしまったのは、或る意味凄い。
しかし、どうせこういうアプローチでやるなら、全篇昭和歌謡ミュージカルで押し通してほしかったかも。最初のミュージカルで押し通される部分はとっても面白く、選曲の妙にも感心してたのだが、後半マジ不良喧嘩上等になってしまったら、昭和のガチンコ喧嘩なので、クローズゼロほどの面白さはなく。まあ、原作が肉弾的な喧嘩ばっかりしている話だから仕方ないのかもしれないけど、どうせなら冒頭のようなロック歌謡を使ってスケ番との喧嘩や、ゴンタとの喧嘩もミュージカル演出で見たかった。(にしてもゴンタのテーマが狼少年ケンなのには笑ったけど。)
そして意外にも30過ぎの妻夫木君がちゃんと誠に見えた。武井咲のズレっぷりも良い。そして、特筆すべきは安藤サクラのガム子。ドスの効いた怖い顔のスケ番が時折見せる純情の匙加減が絶妙。斎藤工の岩清水の一直線ぶりも良かった。

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愛と誠(2012)のポスター
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大串 京子のプロフィール画像

大串 京子

シアトルに本社があるゲッティイメージズという映画や映像や広告などの素材を提供する会社で何でも屋的な仕事をしています。

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