映画『オーガストウォーズ』レビュー

ロシアも熱い。温かい。

2008年、ロシアとグルジアの間で起こった「8月戦争」。史実を題材に、複数の並走する世界観で描かれた、弩級の大作だ。

宣伝に巨大ロボット。「パシフィック・リム」の向こうを張り、よく勝負に出た。それは正解で「ロボット」というキーワードがこの映画への関心をいくらか高めていることは間違いない。現実の戦争にロボットが介入したというのか?ロシア系の兵器と巨大ロボのガチ勝負?観たい!!

と思って観たが、このロボットの出し方には賛否あろう。作り手はハリウッドアプローチを避けたのか。あくまで作り手自身のオリジナルな発想なのか。これを生かすのがロシアの感覚?ギャップを脳内補完しつつ観た。男児もっと頑張れよ!

一方男児を救うために戦地を駆けるシングルマザー・クセーニア(スヴェトラーナ・イヴァノヴァ)は強く美しい。行き掛かりで彼女を助ける小隊長・リョーハ(マクシム・マトヴェーエフ)は頼れるナイスガイ。隊員各位も個性豊かで持ち味をカット毎に発揮する。大統領役も壮健な風格。体温ある人物造形がルックスと相まってストレートに腹に落ちる。

急峻な山々に挟まれた戦場の街。濃い緑と廃墟の灰黒のコントラストがいっそ美しい。序盤の崩壊アクション、銃撃戦と脱出行の迫力と重さ、実戦部隊の大量投入、描かれる熱いドラマはハリウッドに拮抗する。クセーニアが折々に出会う戦地の人々の温かさと強さがニクい。まさに臨戦していたからこそ描ける人々とアクションのリアリティ。序盤の「恋人たちの予感」を初め数々の旧作へのオマージュ。思い全てを詰め込んで脚本のダイエットを試みたはずだ。

男児への視点のユルさはロシア的な鷹揚さなのか。豊穣な大地のごとく、大人たちは強く雄々しく立つ。子供たちはその懐で夢を育め。それがロシアの体温なのだ。この空気は味わっておいて損はない。「ナイトウォッチ」以来のロシア製エンタメ大作。ご賞味を。

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オーガストウォーズのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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