映画『ワールド・ウォー Z』レビュー

「Z」はおれたちの中にいる。備えよう。

感染爆発で人々がアンデッドと化す発想は、すでに誰が一番を主張することもなく、数多くのクリエイターが共通に持つロマンにさえなった。そのうちの一作、映画「バイオハザード」のビジネスに幸運にも関われたので、この映画への期待もひとしおだ。

ロメロの時代からゾンビに込められた「意味」は数々読み出されてきた。もちろん作り手が意図した以上の「暗喩」「象徴化」などもある。この映画は表面的には大仕掛けな災害映画とも言えるが、結果的に強いテーマを備え得たと感じた。

パニックの最中ジェリー(ブラピ)は何が起こっているかを「見る」。一瞬も息が抜けない中でとにかく「見る」「考える」そして「動く」。特別な戦闘能力などはない。ただ大事に描かれるのはその「観察力」「思考力」「行動力」だ。普通の男でもちょっと頑張ればできるかも、と思わせる造形がキワい線で良いところを衝く。

Zになった両親を撃たれ孤児になったヒスパニックの少年に、家族を託す。自分の血路を開いた女性兵士の、Zに噛まれた手先を切り落とす。出会った人間と絆を培う描写に痛みと熱さが伴う。

勇気が湧くラスト。しかし同日に「パシフィック・リム」を観たからか、一抹の疑問も湧く。「【戦い】が無いと人類はまとまれないのか?」
いや、リアルな【戦い】は既にあるのだ。「敵」はまさにZのようにおれたちの心に巣食い、叩いても叩いても殖えて這い上がってくる。「敵」は自分への不信、不満。「敵」は他者への疑い、嫉妬。それらが既に、回り回って自分の危機になっているかもしれないのだ。心身共に備えるに越したことは無い。守るべき存在を守り抜くために。生き延びるために。
夏に贈るビッグ・ファーザーからのメッセージとして受け取った。

イスラエルの女性兵士セガンを演じたダニエラ・ケルテスに激萌え。「パシフィック・リム」の菊地凛子に続いて「戦う美女」連発。この出会いに感謝。

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ワールド・ウォー Zのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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