映画『SHORT PEACE』レビュー

商業だろうがアートだろうが楽しけりゃ良い。

「オープニング・アニメーション」
名匠・森本晃司。ケン・イシイ「EXTRA」のPVが未だに印象強し。そのユーモアあるドライさから、今度はイマっぽい可憐さに軽やかにシフトしている。硬質な色彩はクール、けれど舞う女子には体温がある。日本カルチャーの基底をわずかな尺で見事に表現。

「九十九」
筋骨隆々の旅の男が出会う怪異。戦うのか逃げるのか。彼はその風体に似合わず、篤く優しい男だったのだ。この男には上手くハマれた。イイ奴!DIYは大事。裁縫を身につけたいなーと。

「火要鎮」
絵巻!そう来たか!そうアニメは絵巻だ。その絵巻に観ている側もいつしか取り込まれていく。実写時代劇以上に要点を押さえた江戸言葉の台詞回しと風俗の描きぶりに感心。鳴り物と太鼓のビートは生命感をビリビリ刺激する。このトーンで長編を観たい!

「GAMBO」
「神」と「鬼」の戦いなんだろうか。戦いの最中の山は日中だが、明るい最中にも中盤で植えつけられた生理的な恐怖は続いている。これが日本の「恐怖」なのか。人間以上に対する「畏れ」が日本人の恐怖心のベースになっている。民俗ものもナイスジャンルになる可能性がある。

「武器よさらば」
こちらは硬質なイマドキアニメのさらに先端、ハードボイルド戦闘アクション。シンプルに観る側を戦場に叩き込んでくれる。メカメカしい戦いには生臭さもない。ひたすらドライでイマな描き方がラストに繋がったときのハマり感。人間の「戦争観」がコケにされる時代が来るのかもしれない。

商業の土壌で育ってきたアニメが間違いなく「アート」のレベルに昇華しした。けれど決して難解ではなく、観客へのサービス精神も十分だ。眼にも耳にも心にも楽しい「絵巻冒険」。面白い「日本」を描くことのみに集中した作り手側は実にシンプルな強さを秘めている。追いつきてえ。

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SHORT PEACEのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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