映画『インポッシブル』レビュー

応えねばならない。

3.11で様々な映像コンテンツが影響を受けた。この映画も公開を危ぶまれた。しかしついに劇場で封切られた。観たのが郊外シネコンだったからかもしれない。天気が良かったからかもしれない。それらを割り引いても、観客が少ない。…これじゃいかん。みんなどうした?

3.11以降、それを通奏低音にしながら自主・小規模レベルで多くの日本映画が作られた。全てを観ているわけではないので言葉が過ぎれば申し訳ないが、どうも「他人事」感がぬぐえなかった。観た映画はどれも頭でっかちに「正しくあろう」としていて、おまけにセンチメンタルだ。

この映画を作り上げたスペイン人製作者たちのシンプルな「生命感」にリスペクトを抱く。「生き残る」「家族を見つけ出す」それだけに軸を絞る。数々の危機がその軸に絡みついて強く太く重く進む。様々なメディアで様々な被災の姿が描かれた。その中で被災者とそうでない者たちに共通するものの大きな一つは「家族」だ。

津波に巻かれる「人」。瀕死の重症。裸足で瓦礫を踏む痛み。徹底した制作、迫真の演技。「侠気」と言ってもいいほど。

長男ルーカス(トム・ホランド)が母マリア(ナオミ・ワッツ)を救うため「兄弟は死んだ!」と言い切って大木に向かわせようとする台詞に、素直に頷いてしまう自分がいた。それに打ちのめされた。

映画は強く問う。おれは生き残れるのか。守れるのか。探せるのか。戦えるのか。その思いを強く抱けるだけ、今の家族を友達を愛せているのか。

3.11を捉えること自体、様々な社会政治的要素に囲まれて上手くいかない。「命」を大声で叫ぶ人々に限って「活動的」だから信用ならない。ただ「共に生き延びること」だけに専心できないか。政治的な正しさなんて後でいい。

3.11にはシンプルな物語がたくさんあるはずだ。
作るのか。もう一度彼の地を旅するのか。
どうにかしてこの映画に応えねばならない。

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インポッシブルのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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