映画『県庁おもてなし課』レビュー

「お仕事の一歩手前」ムービー。

原作既読。「阪急電車~片道15分の奇跡」のチームが再結成という。これは観ねばならない。

空撮をもバンバン使い、あらゆる視点から高知の光景が眼前に広がる。
太平洋はどこまでも青く広く、海岸線は懐が深い。街に入っても空は広く、山は急峻で緑が濃い。出てくる食い物も端から端まで旨そうだ。
物語はさて置き、まずは「目でおもてなし」が抜かりない。

掛水(錦戸亮)と多恵(堀北真希)のコンビは若くて可愛くてたまらない。タイトルからも「新人が仕事でトラブルに直面してそれを越えていく」ラインが想像されるが、その印象は却って薄い。

どんな仕事も違う人間同士のぶつかり合いになる。大抵の物語ではその辺を大げさに描くが、この映画は高知の大らかな雰囲気に合わせて感情のしこりを和らげ、登場人物を繋いでいく。
各員共通のゴールイメージを持てないと、どんな仕事でも勝てない。この映画は「お仕事前に分かり合う」を核にした。

それなら、ラストがもうひとつ。原作ではガイドブックを作り始めるところまで行くと記憶している。企画を上層部に宙づりにされたおもてなし課が、それでも出来ることを進めていく覚悟や発想、上の許可で無く「自分たちで」動き出すという興奮を具体的に見せてほしかった。

それにしても三宅喜重監督は、若い女性を丁寧に撮る人だ。「阪急電車」の中谷美紀には圧倒されたが、無言で「空気読んで」と眉をしかめる多恵の表情も、むくれながら料理する佐和(関めぐみ)の表情も、その奥の優しさや真面目さを映している。髪や肌や唇に映える光一発、大事な仕事。
きっと堀北は「こうすれば私は可愛く見える」を判ってるんだろうな…

男どももなかなかだ。生放送であの返しをやって憎めない奴は錦戸の他に見当たらない。「もらうぞ」と宣言する吉門(高良健吾)も静かで頼もしい。そして高遠(船越英一郎)、あんなオッサンは目標だ。

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県庁おもてなし課のポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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