映画『図書館戦争』レビュー

図書隊に入りたくなる。

原作が俳優たちの肉体を経て、より強くシンプルに実体化する。
これぞ実写化。

まずアクション。堂上(岡田准一)が土嚢の奥から戦況を見つめるスロー。弾幕の恐怖。堂上=岡田は勿論、床を滑る小牧(田中圭)の動きも大発明。隊僚にタップして意志疎通。豊富な物量と細かなカットワークが戦闘の動作を克明に描き、雰囲気押しを一切排除している。堂上を銃弾が擦過するカットは凄い!終盤の肉弾戦。堂上の決意が観る側に乗り移り身体が動きそうになるほどの殺陣とカットワーク。さすが師範!

笠原(榮倉奈々)と柴崎(栗山千明)の会話は聞いてて恥ずかしくなるくらい健やか。男どもの会話にも体温とスジがある。観る側も一員になったかのように思わせる台詞運びが見事。玄田(橋本じゅん)や折口(西田尚美)など「大人たち」の老獪さや覚悟もイイ。一方、刺客首領の武山(鈴木一真)は良化法をいいことに破壊行為に耽る「悪」を、そこにいるだけで体現している。そして仁科(石坂浩二)は柔和かつ芯は頑強。スケールを広げるだけでなく、広げたスケールを支える人間芝居に迷いが無いのだ。

堂上が本棚に本を置いていくカットが秀逸。本の背に指を滑らせ番号を確認する仕草に、本という存在への「敬意」が垣間見える。戦闘を見つめていた折口の最後の一矢が最高。このシーンに「志」が詰まっている。「堂上教官を目指します!」と叫んだ笠原の思いは、やがてさらに大きな敬意や志に育っていくはず。映画という単なる娯楽が、「おれならどう生きる?」という問いと勇気を与えてくれた。

原作への「敬意」、制作陣・演技陣の「好き」が観る側にも伝播する。順調な人も凹んでる人も誰にでも観てほしい。「好き」のパワーは半端じゃない。現実世界にある見えない嫉妬や悪意に抗うには、健やかな勇気と知恵と実力が要る。この映画のバイブレーションはそれを伝えてくれる。

必見。おれも図書隊に入りたい。

10
図書館戦争のポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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