映画『ペタル ダンス』レビュー

透明感、ってこれのこと?

澄んだ曇り空って、ある。
重なった雲の際が銀色に縁どられているような。

都会の片隅でも旅先の海辺でも変わりなく、彼女たちを覆う曇り空は、澄んでいるように見える。寒そうな光景の中でも、彼女たちは何故か、少しだけ暖かそうだ。ジンコ(宮﨑あおい)や原木(忽那汐里)の、風になぶられる豊かな髪から、体温が伝わってくる。素子(安藤サクラ)やミキ(吹石一恵)が冬着をゆったり着る姿から、その奥の身体の温かみが伝わってくる。

素のままの喋りで台詞を回す。つっかえたり、口ごもったり、言い直したり、よく聞こえなかったり、順番が後先になったり。
それが各々の「暖かさ」の基になっている。心の有り様を透かして見せている。傍にいるように思わせる。

説明台詞を排し、環境音を選び、光を丁寧に揃え、彼女たちをただそこにいさせる。丁寧な仕事が彼女たちをどんどん「透かして」いく。
自分の心を「濁ってる」というジンコ。けれど、濁ってるところまでは綺麗に透けて見えるのだ。思いあう客体として海辺に立つ彼女たち。その向こう側から冷たいけど澄んだ風が届く。その風は彼女たちを越えて、ほんの少し暖かくなっている。

ふと気づくと鳴っているピアノとスキャットも佳い。澄んだ冬の空気に合っている。波と風に透ける彼女たちの心が、触れあって鳴る。

透明感、という言葉の意味が今まで判らなかった。
これが透明感、だと思う。

いつの間にか、儚げで暖かい彼女たちが愛しくなる。

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ペタル ダンスのポスター
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Daisuke O-okaのプロフィール画像

Daisuke O-okaFreak

某メディア企業で取材・出稿を伴うVTRディレクターをやってます。映画製作ビジネスの経験有り。そのうち何かやってやろうとユルく模索中。映画以外では、スノーボードや自転車ほかアウトドア全般、マンガに読書、クルマ、ねこ、これからの社会の動きなど、興味は全方位。よろしくです。

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