映画『危険なメソッド』レビュー

キーラ・ナイトレイの演技がとにかく凄い!

何を隠そう、私の大学の専攻は心理学である。なので、フロイトとユング、彼らが心理学という学問の基礎を築き、彼らがいなければ「心理学」という学問自体も発展しなかったことを教えられ、彼らの初期の学説の違い等も学んだ。フロイト&ユングの往復書簡も読み、印象としてはそのまま映画に取り入れられている様子。しかし。この映画は、その肝心の二人の学説の差、何が決定的に違ったのか、断片的には描いているけど、切り込んでなく、表面的な出来事のみを描く事に留めているため、人間の「心理」や「無意識」「深層」を扱う事のスリリングさ、その定義付けの曖昧さが故に出来る決定的な溝などを描ききっていないので、どうにも焦点がぼやけ、いったいこの映画で何が描きたかったのか、不明瞭な作品に仕上がってしまっている気がする。私はこの二人の学説を大学で比較しながら学んだので良く知っているが、知らない人に取っては、まったく「なんのこっちゃ?」なのでは。
しかし、とにかくキーラ・ナイトレイの演技が凄い。統合失調症で入院してきた後、ユングとセラビーを行っている時の喋り方や表情。病気が快方に向うにつれての元々の知能が高く繊細な性格の女性の素顔の覗かせ方。論文を書き上げ、結婚をし、安定を得た後のかつての恋人に向ける哀れみに近い眼差し。体を使った演技もさることながら、目や口元の動きや表情など、もう、この人の演技、本当に凄い。あと凄いのはヴィゴ・モーテンセン。どう観てもフロイトその人にしか見えない。マイケル・ファスベンダーのユングもなかなか。はっきり言って、この映画は話はともかく、この三人の演技達者な俳優の表情ややり取りを楽しむ映画なのだと思う。

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危険なメソッドのポスター
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大串 京子

シアトルに本社があるゲッティイメージズという映画や映像や広告などの素材を提供する会社で何でも屋的な仕事をしています。

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