映画『007 スカイフォール』レビュー

50周年らしいシリーズの総決算&リスタート

ダニエル・クレイグの登板でボンドシリーズが再び息を吹き返したことを
否定するするひとはいないと思う。
実際クレイグの野性的なボンドは新しい風をもたらしたし、
ハードなアクション描写やストーリー展開も
新規観客の獲得に大いに役立ったはずだ。

しかしクレイグ以降を「ジェイソン・ボーン」的として、
お約束に満ちた旧来のシリーズを懐かしむファンの声も少なくなかった。
そこでボンドファンを公言するサム・メンデスが目指したのは
“シリーズらしさ”の復権だった。

なので、今作にはファンが思わず笑みをもらす目配せや
小ネタが随所に盛り込まれた50周年的お祭りムードが漂う仕上がり。
久々に“安定感”のある語り口を歓迎する人は多かろう。
敵の計画がやたらと遠回りで不合理だったりもするが、
もともとのシリーズの持ち味である“ゆるさ”を思えば
目くじらを立てることもない。

ただし、個人的にクレイグ以降のボンドの真価は、
『女王陛下の007』一本のみで継承されなかった
サルツマンが目指したハード&リアル路線の復活だったと思っているので、
前二作の方針や世界観までリセットされたことは正直惜しい。

Mとハビエル・バルデムの因縁話がメインでボンドの必要性が薄かったり、
いくらなんでも『ダークナイト』の影響受けすぎだろとか、
実質的に77歳のジュディ・ディンチがボンドガールで
もうちょっとお色気欲しかったとか、欲を言えば注文はいっぱいある。
でも本作を観て「ついにクレイグ・ボンドが本物のボンドになった!」と
喜ぶ人たちの気持ちもわかる。
絶賛が並ぶことを予想しつつ、自分は星7つに留めさせていただきたい。

あと誰もが言うことでしょうが、
ほんの少しのネタバレが楽しみを削いでしまう構造になっている。
劇場に行くまで眼と耳は塞いでいるのが一番かと。
公開前にレビューを書いておいて矛盾してますけどね。

7
007 スカイフォールのポスター
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村山 章のプロフィール画像

村山 章Freak

サエない映画ライターです。だって、応援する映画がこぞって売れないんだもの。

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