映画『ヒューゴの不思議な発明』レビュー

途中から涙が止まらなくなり、3Dの眼鏡が邪魔だった。

タイトルからも主人公はヒューゴ・カブリエという少年という触れ込みだけど、この話の真の主役はジョルジュ・メリエス=ベン・キングズレーなのだった。SF・ファンタスティック映画ファンであれば、いかにジョルジュ・メリエスが特殊効果を使った映画の先駆者で素晴らしい才能とクリエイティビティを持った映像作家だったか、ということを耳にタコが出来るくらい聞かされて育つ訳だが、そんな彼にも不遇な時代があり、失意の中で生きていた時があったということは、この映画で初めて知った。どこまで史実なのだろうと思ってググってみたけど、彼が破産し、フィルムも軍需工場の素材として靴底に使われ、失意の中、オモチャ屋の店主をしていたこと、そのフィルムが熱心な研究家の努力で再発見され、ガラ上映が行われるところは、実際にあった話らしい。そして彼の作品がふんだんに本編の中でも映写される。スコセッシ、「赤い靴」もデジタルリマスターで美しく蘇らせていたけど、メリエスの映画も美しく蘇っていた。過去の遺産を最良の状態で保存することに心を砕いているのが、映画人として素晴らしいな、と思った。
ヒューゴが良き理解者を得て幸せになったのも泣けたけど、何よりメリエスが過去の自分と向き合えるようになったことに涙が止まらなくなり、3Dメガネが邪魔で邪魔で困った。泣く映画は3Dにしてはいかん、と思った次第。
クリストファー・リーが書店主の役を、あの美声で元気に演じていたのが個人的にとても嬉しかった。ジュード・ロウも機械オタクな職人が意外に似合っていて良かった。この映画、ジョニー・デップも製作に入っているのを知らなかったけど、カフェで演奏していた音楽家の一人がデップだったような気がしたのだけど、クレジットされてないから気のせいだったのかな?

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ヒューゴの不思議な発明のポスター
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大串 京子のプロフィール画像

大串 京子

シアトルに本社があるゲッティイメージズという映画や映像や広告などの素材を提供する会社で何でも屋的な仕事をしています。

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