映画『最強のふたり』レビュー

事実は小説よりも奇なり?

人当たりの良い人気者だから、ちょっとのガサツさは許されてしまう。
そんな映画にケチを付けるのは難しいワケで、おまけに実話を元にしているというのだから余計に手に負えない。事実を横並びにするだけではドラマとなるのか?“全身麻痺の大富豪とスラム育ちの黒人青年”、この抜群の素材に対して作り手のキメの粗さが気になり、映画に没頭できなかったのが歯がゆい。

どうしてスラム育ちのガラの悪い青年ドリスが全身麻痺という大変な障害を抱えているフィリップの介護を引き受けたのか。金も住む所もないからといって、そう易々と引き受けられる仕事ではない。
対してこれまで何人もの介護のプロが匙を投げたというフィリップの性格的問題とは何なのか?フランスが介護の後進国だとは思えない。
フィリップがドリスの破天荒さを受け入れるたのなら、ドリスがフィリップを受け入れる描写があってもいいハズだ。

こんな注文がついてしまうのも一重にドリス役オマール・シーがあまりにも素晴らしいからだ。屈託のない笑顔、迫力のある身体がのびのびと躍動する動物性、彼の好パフォーマンスにこちらも顔がほころんでしまう。障害も心の壁も一蹴してしまう彼の魅力を前にこんな文句を言うのはそもそも野暮なのかもしれないが、ギャップや身障者ネタばかりで笑いを取る以上のものがもっと見たかった。

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最強のふたりのポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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