映画『フィラデルフィア』レビュー

生きた証のための戦い

93年という製作年を考えると、この映画は非常に大きな衝撃をもって迎えられたのではないだろうか。当時、コメディ俳優としての印象が強かったトム・ハンクスがゲイのエイズ患者に扮し、自身を不当解雇した弁護士事務所を訴えるこの物語は、おそらくメジャーシーンで初めてエイズ問題が正面から取り上げられた作品だと思う。ジョナサン・デミ監督はこの題材に誠実に取り組み、観客に議論する余地を与えている。

本作でオスカーを初受賞したトム・ハンクスは刻々と痩せ細っていく主人公を大幅減量で再現し、並々ならぬ気迫をもって役柄に挑んでいる。
だが、僕は観客と同じ目線にいる弁護士デンゼル・ワシントンこそ真の主人公ではと感じた。俗っぽいビジネスライクな弁護士がゲイへの偏見を持ちながらも、社会の醜悪な差別意識へ反感を抱いていく様は僕らにこの問題の根深さを気付かせてくれるのだ。

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フィラデルフィアのポスター
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長内那由多のプロフィール画像

長内那由多

タマネギ畑が広がる北海道のド田舎で多感な思春期を過ごす。中学2年生で「恋人までのディスタンス」のジュリー・デルピーに恋をする⇒メインの更新は本館ブログへ移行しました。こちらでは劇場公開作についてたまにアップします。

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